日本六古窯、丹波焼の故郷へ
ことしの10月、日本六古窯の一つ、丹波焼のふるさと丹波篠山へ行ってきました。目的は当ストアで販売させていただいている、市野雅利さんの運営するお店にお伺いすること。茶器やお茶を仕入れる際には、できるだけ作り手の方にお会いし、直接お話をお伺いしたいのですが、このご時世ですのでなかなかお願いもしづらかったところ、快くご承諾くださいました。
丹波焼の故郷は兵庫駅から車で一時間ほどの丹波篠山の山間にあります。
丹波焼の歴史は大変古く、起源は平安時代に遡るともいわれています。立杭とよばれる登り窯で焼かれる、無釉の黒く素朴な風合いが特徴です。
山の斜面には日本最古の登り窯があり、その周辺には数十の窯元が集まっています。市野さんのお店と工房も、登り窯のすぐ近くにあります。
市野さんがテキスタイル作家の奥様と運営されているココチ舎(ここちや)の店内。市野さんが手掛けたうつわの数々と奥様のテキスタイル雑貨が陳列されています。
このお店で、市野さん自ら淹れてくださったお茶をいただきながらいろいろなお話をお伺いしました。
普段使いのうつわを中心に作陶されている市野さん曰く、いつも使ううつわだからこそ使いやすさにもこだわりたい。今回仕入れさせていただいた絞り出しと湯冷ましも薄造りで軽く、使い心地の良い茶器となっています。
ひとしきりお話をお伺いしたところで、お店にほど近い最古の登り窯にもご案内してもらいました。
今でも現役の登り窯。毎年12月のイベントには火入れを行っています。登り窯の上、丹波の郷を一望できる斜面には、古くから変わらないこの地の景色を先祖が見守るかのように墓地がありました。
登り窯のふもとにある巨大なアベマキのご神木。画像では見切れていますが手前にタイルで描かれた土俵があり、祭りの時期にはこの木の前で子供相撲が行われるそう。市野さんも子供時代にはここで相撲をとったそうです。
ここに長く住むほど、この地がますます好きになると市野さん。古くから変わらない、そしてこれからも変わらない景色が丹波の地にはありました。