釜炒り茶について
釜炒り茶との出会いはいまから10年ほど前。関東の人はそもそも存在自体を知らないという方もいるんじゃないでしょうか。私もその一人でした。
釜炒り茶?ほうじ茶みたいなもの?という具合で、日本茶を代表する緑茶の一つであることすら知りませんでした。淡く黄みがかったお茶は香ばしく良い香り。飲んでみると確かに緑茶で、とても美味しかった記憶があります。
少ししてその香ばしい香りが釜炒り茶特有の釜香というものであることを知りました。釜炒り茶の場合、ほうじ茶のように最後に焙煎をして香りをつけるのではなく、摘んだ茶葉の発酵を止めるために釜で炒って乾燥させる時に自然に生成される香りです。
この工程を殺青といいますが、煎茶は殺青を蒸して行うのに対し、釜炒り茶は鉄窯で炒って行います。この釜で炒る工程は中国茶の製法と同じで、古く中国から伝わった手法が残っているんですね。そんなお茶の歴史に思いを馳せながら飲む釜炒り茶は、また一味違って感じるかもしれません。
釜炒り茶は主に九州地方で作られていますが、国内の緑茶の流通量の5%ともいわれています。人生で一度も釜炒り茶を飲んだことないという人も結構いるのかもしれません。ぜひ一度飲んでみてはいかがでしょうか。